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Good Books for Neighbors
グッド・ブックス・フォー・ネイバーズ
私たちの思い
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私たちバリューブックスは、
日々インターネットを通して、日本中のお客様に本を届けています。
しかし、オンライン上でのやりとりはスムーズで便利な反面、
本を買ってくれた人の顔を見ることや声を聞くことはできません。
私たちが届けた本は、どんな人が手にしたのか。
その人の暮らしに、どんな変化があったのか。
それを知る機会がないもどかしさがありました。
「この本いいですよね。」「この本オススメですよ。」
そんな簡単な言葉でも、本を介してコミュニケーションをしていくこと。
そのことが、バリューブックスの次の可能性を広げてくれるのではないか。
オフラインだからこそできる、本と人との関わりを自分たち自身で作り出すことで、
本屋としてできることが増えるのではないか。
あるときから、そう考えるようになりました。
「NABO」オープン
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そんな思いから、2015年1月、
私たちは「NABO(ネイボ)」という名前のブックカフェをオープンしました。
場所は長野県上田市。
バリューブックスの拠点があり、多くのスタッフが暮らす場所です。
そしてバリューブックス設立時のメンバーが出会った高校がある、
はじまりの場所でもあります。
「NABO」とはデンマーク語で「隣人」。
英語の「neighbor」に近い意味を持っています。
NABOという場所が来てくれる人にとって良き隣人であるように、
ここで手に取った1冊の本がその人の人生の良き隣人であるように。
そんな願いを込めてつけた名前です。
NABOを通じた出会いが誰かの人生をよいものにできたなら、
そんなことが少しずつ積み重なっていったら、
街も豊かになるのかもしれない。
いつのまにか私たちは、そんな夢をもつようになりました。
「NABO」を
通して見えた街の姿-
常に変化のあるおもしろい本屋でありたい。隣人たちの出会いの場でもありたい。
そんな気持ちから、
わたしたちはこのお店で「毎日イベントを開催すること」という宿題を、
自分たちに課しました。
読書会、読み聞かせ、本の帯を勝手に作る部活など本に関わるものから、
カレールウの食べ比べ、編み物教室、ウクレレ講座、本屋を会場にした婚活、
大根料理を販売するDJイベントなど様々なものを開催しています。
上田の街に住む人が主役になって、
持ち込んでくださったイベントを開催することもたくさんあります。
そしてなにより見えてきたのは、本を買ってくれた人の顔や声です。
「パソコン使えないから店で本を買えて助かるわ。」と笑顔で話しかけてくれたおじいちゃん。
抱えきれないくらいの本を山積みにして、レジに持ってきた姿を見て、うれしくなりました。
「このえほん、ここで買ったの。」端がぼろぼろになった絵本を見せてくれた男の子。
本というのは内容だけでなく買った場所の思い出もついてくるものなんだな、と気付かされました。
ぱらり、ぱらりとゆっくりページをめくっていたおじさん。
その指先が、亡くなった奥さんのことを想い出しながら読んでいるのだということを、
後から知りました。 今でも、思い出すと胸が熱くなります。
日々のこうしたお店の風景の中から、
NABOを始める前には知ることのなかった街の人々の姿が、見えてくるようになりました。
オープンから2年、
思い新たに-
2年間NABOを続けていく中で、
オンラインで本を販売することとはまた違った手応えを、確実に感じるようになりました。
その一方で、200万冊の在庫と400人近くの仲間、
何年もかけて育ててきたバリューブックスの仕組みを、
もっとNABOに取り入れられないものだろうかというモヤモヤを、いつも抱えていました。
倉庫からは日々、
NABOの店内にあるすべての冊数以上の本が一日で売れていき、
同時にネットで販売できずにたくさんの本が古紙リサイクルに回っていきます。
多くの人に本を手に取ってほしいと願うのならオンラインで本を売ればいい。
それだけでは手が届かない場所があるからNABOを始めたのに、
本当にわずかな本しか救うことができない現実を目の前にして、
きれいごとを言っているだけなのではないかという気持ちを、どこかに持っていました。
オンラインとオフラインの間を行き来する、自分たちの強みを生かした店が作りたい。
NABOオープンから2年、
再スタートを切るような気持ちで、私たちに何ができるか、
あらためて考えるようになりました。
本で街を応援する
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そんな中、2017年1月から、
本で街を応援する「FURE FURE BOOKS」という小さなプロジェクトを、
新しくはじめました。
街の人々から本を寄付して頂き、
それをNABOでの店頭販売や、
私たちがずっと取り組んできた「charibon」という仕組みを通じてお金に変えて、
上田で活動するNPOに寄付する、という仕組みです。
全力で走る誰かのそばに立ち、
大きな声で応援するという行為は決して見返りが約束されていることではありません。
ただ応援したその人が何かを成し遂げた時、
泣いて喜んでしまうような清々しい気持ちになる。
そんなふうに誰かを古本で応援できる仕組みにしたいと考え、はじめたプロジェクトです。
はじめたばかりにも関わらず、
たくさんの方が「誰かの役に立てるなら」
「お金の寄付ではなく本でよければ」と、
本を寄付してくれるようになりました。
オフラインで誰かを応援したいという気持ちを受け取り、
オンラインでお金に変えて、またオフラインでNPOに届ける。
隣人から隣人へ、応援の気持ちを届けています。
これからの図書館を考える
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もうひとつ、あたらしい取り組みをはじめました。
図書館です。
もっとたくさんの人に本を手に取ってもらうために、私たちに何ができるのか。
考えてみると、人が本と出会う場所の多くは、
本屋か、図書館であるということに、あらためて気がつきました。
わたしたちは人が本と出会う場所として多くのきっかけを持つ「図書館」について、
真剣に考えていきたいと思うようになりました。
しばらく議論をつづけていました。
けれど結局、たどりついたひとまずの結論は、
まずはやってみないとわからない、ということ。
そうして2017年4月、
2軒となりに「Library lab(ライブラリー・ラボ)」をオープンしました。
現在、およそ1000冊の蔵書を自由に借りて読むことができます。
まだまだ手探りの状態ですが、
自分たちで実際に試行錯誤しながらこれからの図書館のあり方を考える実験の場として、
少しずつ成長させていきたいと思っています。
本で街をつなぐ
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こうして私たちは、上田の街に暮らしながら
「街の本屋」と「街の図書館」の現場にも立つことになりました。
すると、イベントの出店や映画館への本の設置など、
「本屋」「図書館」という枠からはずれた場所へ
本を置いてほしいという依頼をたくさん受けるようになりました。
本と出会うことのできる場所が街にあふれていたら、
本と街に住む人との関係はどんな風に変わっていくだろう。
そんな風に思いを巡らせることが多くなりました。
本で街をつなぐ。
その可能性を強く感じた私たちはプロジェクトチームを組み、
実現にむけて取り組むことを決めました。
数年前からはじめていた、
上田の街のお店に本を設置する「コトバコ」というプロジェクトを軸に、
駅のホームやバス停、公園、温泉など、
もっと公共性の高い場所にも本を置くことで、
街の人がふと本に出会える瞬間を増やしたいと考えています。
「コトバコ」というプロジェクトでは、
本だけを見るためにふらっと立ち寄りにくいというのが、ひとつの課題でした。
その点をクリアしながら、
本を読む人のいる風景を、上田の街の日常にしたい。
本と出会うきっかけを街にたくさん忍ばせることで、
私たちのもとに集まった本をより必要としている人のもとへ届け、
街全体が大きな本屋になったような風景を作ることができたら、と思っています。
ローカルから世界へ
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NABO、古本で誰かを応援するFUREFURE BOOKS、私設図書館のLibrary lab。
そして、
本で街をつなぐということ。
地図を広げればわずかな点でしかないようなこの場所で、
私たちがはじめたこれらの取り組みは、
世界に向けて本を販売している私たちが
「1冊の本を誰かの手に届けるということの意義」に立ち返る場所でもあります。
ビジネスとしての効率を求めることと、
目の前にいる人の気持ちを大切に思い行動すること。
このふたつは相反するものではなく「両輪」であると私たちは思っています。
目の前にいる人や自分たちの暮らす街の課題を解決することは、
その先にある世界を変えることにつながる。
大げさかもしれませんが、私たちは本気でそう思っています。
まだ自分たちのことで手一杯で、やり切れていない部分も多いですが、
本で世界を変えるその未来を信じて、
私たちはこれからも上田の街から挑戦していきます。
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NABO
長野県上田市中央2-14-31
TEL: 0268-75-8935
営業時間: 10時〜22時 火曜定休
HP http://www.nabo.jp/
FB https://www.facebook.com/nabobookscafe/
*本の寄付を随時受け付けています(FURE FURE BOOKS)。
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Library lab
長野県上田市中央2-14-33
TEL: 0268-75-8938
開館時間: 金・土・日の10時〜18時
FB https://www.facebook.com/librarylabvaluebooks
*3冊まで2週間無料で借りられます。